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拡大ゼミと公開シンポジウムを開催しました

2月3日(金)と4日(土)、鈴木大裕さん(コロンビア大学大学院・高知県土佐町役場)と林寬平さん(信州大学教育学部助教)、そして林さんのゼミの学生さんたちをお招きしました。学校経営論の専門演習(ゼミ)に参加する学生・院生たちにとって、充実した学びと交流の機会となりました。

3日(金)は2〜4年生の専門演習の特別企画として開催。学生たちは昨年10月から鈴木大裕さんの『崩壊するアメリカの公教育 −日本への警告−』(岩波書店)を読んで学習を重ねていました。その著者と直接交流でき、学生たちからも積極的な質問が飛び交いました。みんな大いに刺激を受けたことでしょう! 鈴木さんも学生たちとの交流を楽しんでいただけたものと思います。夜はみんなでジンギスカン! 遅くまで飲み過ぎました(笑)。

4日(土)は公開シンポジウム「拡大する教育政策市場と教育の公共性」として開催。第一部の鈴木大裕さんの講演と、第二部の林寬平さんからの指定討論とディスカッション、という構成でした。北海道新聞からも取材があり、日曜朝には記事にもしていただきました。以下、内容を簡単にですが紹介します。

鈴木大裕さんは講演で、ご自身の渡米時の思いや米国での研究生活の詳細を紹介されながら、教育の市場化がもたらす公教育破壊の問題性と、その背景となる新自由主義の世界観の浸透という構造的な問題をとてもわかりやすく説明、指摘されました。また、その問題構造に対抗するためには、課題先進地である過疎地・ローカル発で、人間と人間との対話と理解をベースに、教育とは、学力とはなど、関連する概念の問い直しを進めることが鍵であると、実践的な課題を示していただけました。一方、林寬平さんからは、スウェーデンの学校選択やPISAの影響力の拡大を例に挙げながら、政策がいかなる目的で実施されるかは、それを考える政府(ガバナンス)のあり方に依存しており、公教育破壊の課題もそこに収斂している点について指摘がありました。また、社会的正義の実現に向けて善意による改革や運動が行われても、それらがより巨大な勢力に飲み込まれ悪用される危険性があることを指摘し、現在における新自由主義への対抗においても上のリスクを踏まえた慎重な戦略が求められると提起がありました。

お二人のディスカッションをしきった立場としては、北海道の身近な事例にも引きつけた展開にもっていければなお良かったと振り返りますが、鈴木さんが現在生活されている高知県土佐町での取り組みの話には、私たち北海道に生きる者にもシンパシーを感じられる要素が多分に含まれていたと思います。教育の公共性について充分に議論を深めるまではいきませんでしたが、あとは参加者それぞれの認識と思考に委ね、さらに継続して議論をしていければと願っているところです。

また、こうした機会を北海道でも、また土佐町や信州でも持ちたいものです。鈴木大裕さん、林寬平さん、そして信大の学生さんたち、札幌までおこしいただき本当に嬉しかったです。貴重な時間を本当にありがとうございました。

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