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横井 敏郎 Toshiro YOKOI 

 大阪府生まれで、30歳まで関西で過ごしましたが、1992年に北海道大学教育学部助手に採用され、それ以降、ずっと北大で過ごしています。ものを考える時に基本的なスタンスや骨格というものはあまり変わっていないと思いますが、長くいれば研究の中心的なテーマや課題は変化します。この十数年は教育機会保障と公教育制度の再検討を研究課題としています。
 かつては総中流社会と言われることもあった日本ですが、80年代からの世界的な経済・産業構造の変動の中で日本社会も大きく変化し、90年代後半からいわゆる格差社会が到来します。私は当時、地域社会や産業と結んだ学校づくりについて研究していましたが、学校に通い、卒業すること自体が困難になる子どもたちが増えてきたことから、その後は教育機会保障に焦点を当てて研究を進めてきています。
 日本の公教育制度は地域間格差を抑制し、均等な教育条件を用意しようとしてきましたが、実際には教育を十分に受けられていない子どもたちが多数出ています。教育法制の不備やそれにともなう教育施策の不足・不備が大きな要因としてあげられます。また、2000年代に入って国の負担が削減されてしまい、教職員の負担が増して子どもに十分に手をかけられない状態も生まれています。
 さまざまな理由で教育を十分に受けられていない子どもたちにいかに手を差し伸べ、教育を提供できるのか、そのために公教育制度改革をどう行うべきか、また教職員配置などの教育条件整備をいかに充実させるかといったことが重要な課題になります。
 なお、ここでは教育機会保障に焦点を当てていますが、教育行政学という分野は実は幅広く、対象は多岐にわたっています。たとえば、必要な政策を実現するには政策形成過程を研究しなければなりません。教育委員会制度や審議会の研究も必要になります。審議会と不登校は別物に思われるかもしれません。しかし、一見バラバラに見えるものも実はみなつながっています。北大教育学研究院HPの専門分野やゼミのページには教育行政学研究室で取り上げられる対象や学生院生たちの研究テーマを見ることができるので参考にしてください。幅広い視野から公教育制度や教育行政について考えていってほしいと思います。
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