コペンハーゲン便り22(学校訪問5-4)
引き続きTolne Efterskoleです。
さて、同校の予算はどうなっているのか、事務の方に2015年度分の資料をもらい、説明を受けました。
国からの補助金は、①生徒人数分の補助金(1人5.5万kr(88万円、為替レート1kr16円として))、②建物への補助金、③一般補助金(使途自由)、④slow learnerへの補助金(軽度3万kr、中度10万kr、重度13.5万kr)の4種類があります。②と③は合わせても1000万円もなく、歳入に占める割合はわずかです。
親が支払う学費は週2500kr、43週分で10.75万kr(172万円)ですが、親には国からの補助があります。Frijsenborg Efterskoleの場合と同様、親の所得によって額が変動し、44260kr~70468kr(70万円~113万円)に抑えられます(協会HPの2017/18年度分の計算)。他に全生徒一律に学費の10%分の補助もあります。
さらに生徒の居住自治体からの補助があります。自治体によって判断基準が異なるということですが、最近のインクルージョン政策の流れを踏まえ、特別支援を要する生徒に補助を支給する自治体が増えているそうです。本校の2016/17年度の場合、63%は一切学費負担はないということでした。ただしこれはスペシャルエフタースコーレという本校の特徴であり、他にはこんなに高い比率で学費が免除される学校はありません。
教員の給与は上記の補助金を含めた学校収入の中から支払われ、別途の補助はありません。給与額のミニマムは教員組合と学校側との交渉で決まり、学校によって多少の上乗せがある場合もあります。
本校にはすばらしい体育館があります。これは2007年に新設されたものです。体育館新築のための国の補助はなく、すべて自己資金で建築されました。銀行に融資を依頼し、それを毎年返済しているということです。
現在生徒数は90人。もっと生徒を増やすことは考えないかと聞くと、本校の定員はもともと69人で設定している。90人は限界であり、これ以上増やすのは無理だということでした。
私は、乗馬や農業など非常に経費がかかるワークショップを含めてこれだけのワークショップを展開し、生徒の生活能力形成のための家を維持していることに驚きました。これが可能になっているのは、1つにはやはり国の補助があるからでしょう。本校は来年度からさらに新しくJanitor(用務員・ビル管理人など)というワークショップを立ち上げようとしているとのことです。
それでは順風満帆かというと課題もあります。次回にその話をして本校の訪問記を終わりにします。
(写真は、体育館の内部と外観)