コペンハーゲン便り19(学校訪問5-1)
2016年12月16日にTolne Efterskoleを訪問しました。先に紹介した国際カンファレンスに同校のNiller先生が参加されており、フリースクール教員養成アカデミー校内ツアーに一緒に参加したり、夜のイベントでも同席して少し話をしていました。14-15日にユトランド半島の中部にあるFrijsenborg Efterskoleまで行くのなら半島北端のTolne Efterskoleにまで行ってみようと考え、学校訪問をお願いしたところ、快くOKしてくれました。16日の朝、Niller先生が学校近くのTolne駅まで車で迎えに来てくれました。
このエフタースコーレはスペシャルエフタースコーレ、特別なニーズをもつ生徒を受け入れるタイプのエフタースコーレです。エフタースコーレ協会のHPでは、エフタースコーレは一般、スペシャルニーズ、ディスレクシアの3種類に大きく区分されています。スペシャルエフタースコーレは現在18校あり、本校はその1つです。スペシャルエフタースコーレ18校のうち9校が協力して学校案内のための共同HPをもっており、そこではスペシャルエフタースコーレは、ADHD、自閉症、アスペルガー、注意欠陥多動性障害、ダウン症候群、トゥレット症候群などの若者を受け入れると書かれています。
本校の校舎はもともとTolneコムーネのフォルケスコーレ(公立基礎学校)のものでした。このフォルケスコーレは1956年に設立されましたが、1970年にデンマークで大規模な自治体合併が実施され(都市コムーネ86と農村コムーネ1300を275のコムーネにまとめた)、少子化もあって本校は他校と統廃合されて廃校となりました。校舎はなかなか美しいデザインで、内部の空間はひろびろとしており、昔はきっとたくさんの小中学生たちがここで学んでいたのでしょう。
デンマークで最初に設立されたスペシャルエフタースコーレはAabæk Efterskoleで、1970年の創立です(同校HP参照。デンマークで初めて設立された実習型エフタースコーレとある。)。Niller先生によると、その後、1980年代になって当時の文部大臣がスペシャルエフタースコーレの設立を推進し、同年代に多くのスペシャルエフタースコーレが設立されたということです。Tolne Efterskoleの場合、初代校長となった人が地域の人々と相談をして理事会を設置し、空き校舎を購入して1984年に開校されました。
本校の生徒は14~18歳(8-11年生)を対象としています。デンマークの義務教育は9年制ですが、生徒個々の事情に合わせて高校・職業学校等に進む前に10年生を取ることができます。通常11年生はないのですが、本校は2年制課程を採用しているため11年生までとなっています。生徒数は現在90人です。校長・副校長・部門長の他に一般教員は25名おり、事務・調理・用務員・特別支援員などの職員が13名います。
Niller先生は1994年に本校教員になり、20年以上も本校に勤めています。担当は音楽ワークショップです。本校教員になる前は、義務教育修了後の特別支援を要する子どもを受け入れる民間の学校に勤め、木工やアートの職業体験をさせるワークショップを担当していたが、こちらに移ってきたということです。音楽ワークショップの教室でNiller先生は、学校の歴史や教育内容、生徒のことなどを説明してくれました。説明してもらっているうちに休憩時間となり、音楽ワークショップの教室にも生徒たちが入ってきました。説明も暫時中断です。
(写真は地図、メイン校舎の外観、音楽ワークショップ教室、集会ホール、共用スペースの一部 小さな中庭に置かれた生徒たちのアート作品 、)