コペンハーゲン便り14(School Visits2・学費に関する追記)
今回は、前回のRyslinge Efterskoleについての追記です。前回、学費は年約150万円に及ぶと書きましたが、国と自治体からの補助金について計算していませんでした。エフタースコーレ協会のホームページには、すべてのエフタースコーレの基本情報が掲載されており、そこでは来年度(2017-18年度)の学費が計算できるようになっています。これで同校の学費を計算してみると、週2,275kr、年42週間で総額95,550krとなりました(為替レート16円/krで計算すると、約153万円)。
しかし、国からの補助があるため、実際には全額を支払うわけではありません。親の所得(入学前2年間の基礎所得額から計算)によって国からの補助額は異なります。親の所得が年91万kr(1456万円)以上ある場合、国からの補助は週581kr、年間で24,402krです。実際に支払う学費は年72,848kr(約116万円)です。親の所得が38万kr(608万円)未満の場合の補助額は週1,205kr、年50,610krとなり、支払う学費は46,440kr(約74万円)で済みます。親の所得が上記の中間である場合は、補助額も所得額に応じて変化します。つまり、Ryslinge Efterskoleの学費は、国の補助額を差し引くと、最低46,440krから最高72,848krまでとなります。
さらに、ここに生徒が居住する自治体からの補助が加わる場合があります。これについては自治体ごとに基準や判断が異なります。通常は生徒が家庭や学校で何らかの困難を抱えている場合か、ディスクレシアなどの特別支援を要する生徒の場合に補助が出るようです。しかし、エフタースコーレ協会によると、自治体は学校ではなく親に補助を渡すこともあって、どの程度の生徒が自治体からの補助を受けているか、正確な数字はつかめていないとのことです。
上の計算を見る限り、家庭の経済的負担は国の補助によって抑えられ、家庭の経済力の格差も緩和されるように制度設計されていることが分かります。ただ、それでも家庭が貧困であれば、最低額の学費を支払うのも負担と感じるかもしれません。日本と物価が違うし、為替レートも変動が大きいため、正直なところ学費をどう見るかは難しい。もう少し考えてみたいと思います。
(写真は、同校に建てられているフリースコーレ創設者Kristen Koldを讃える石碑と、校舎の一部。)