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コペンハーゲン便り13(School Visits2)

 2つめのSchool Visitは、Ryslinge Efterskole。エフタースコーレとは、14歳(8年生)から18歳までの子どもが通うことのできる寄宿制学校。生徒の多くは9年生と10年生です(注)。公立または私立の基礎学校の最終学年かそれを修了した後の1年をエフタースコーレに入って過ごす子どもは同年齢の25%程度にのぼっています。学校数も1980年は135校でしたが、いまではその倍にまで増えています。

 ここにはもともとフォルケホイスコーレ(18歳以上が学ぶ成人学校)がありましたが、生徒数が減少したために、エフタースコーレを併設することとし、2009年に開校しました。生徒は10年生のみで現在150名が在校。3チームに編成され、各チームに2クラスが置かれています。チームの1つはインターナショナルクラスと呼ばれ、ケンブリッジイングリッシュ検定が受けられるコースで、海外研修に行くことができます。6つのメジャー(アドベンチャー、アート、メディア、音楽、サイエンス、演劇)から1つを選択し、それとともに通常教科や選択科目があります。

 ここでは女子生徒2人に学校を案内してもらいました。2人とも、公立学校9年生のときに複数のエフタースコーレを見学をして、雰囲気が合っているこの学校を選んだということです。

 教室に寮、休憩室や映画サークルなど、複数の建物を移りながら見て回り、説明を受けました。寮は女子のみ、男子のみ、男女両方が入っている建物の3種類があります。女子のみの寮は男子と一緒に居にくい女子を話し合いで入居できるようにするとのことでした。洗濯や掃除は当然自分たちで行います。案内をしてもらっているときに、一生懸命掃除や洗濯をしている生徒たちを見かけました。

 学費は週2300kr。インターナショナルクラスは週2500kr。1krを現在の為替レート16円、在校期間を10ヶ月=40週として計算すると、年150万円前後となり、けっして安い金額ではありません(自治体から補助が出る場合もあるが)。生徒の進路を聞くと、ほとんどが高校(Gymnasium)に進学します。この学校には中上層の教育要求に応える位置にあるように思われます。

 しかし、もちろんのこと、ここは受験予備校ではありません。教育はプロジェクト学習を中心としています(Ryslinge-modelというプロジェクト学習の本まで出版)。HPにはこう書かれています。“uddannelsen er en personlig sag, men et fælles projekt”。「学習は個人的な事柄であるが、また共同のプロジェクトでもある」。共同学習や寮での共同生活を通じて全人的な成長を図る場であるエフタースコーレ、その一瞬に触れることができた学校訪問でした。

(注、デンマークでは基礎学校を卒業した後、すぐに次の進路に移らず、10年生としてさらに基礎学校教育を受けることができる。その場がエフタースコーレと10年生学校。)

(写真は、集会ホールの絵でエフタースコーレを説明する校長、教室、寮に向かって歩いているところ)

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