コペンハーゲン便り12(School Visits1)
国際カンファレンスの翌日は、2つのSchool Visitが用意され、私はそれにも参加しました。
1つめはVesterskerninge Friskole。創設されたのは140年以上前。農村部の自然と一体となった広い敷地をもつ学校ですが、1学年1学級の小さな学校です。私たちはまず朝の集会を見ました。ホールに1年生から9年生までの全生徒と教員が集まります。先生2人が順に講話をし、その後は生徒の出席を取ります。続いて先生たちの演奏で歌を唄う。この朝の集会はいまでは公立学校にも取り入れられているというが、もともとはフリースコーレで始まった。連絡事項を伝えたりする場ではなく、対話と共同を重視するフリースコーレの重要な教育実践として位置付いている。
高学年の生徒2名が訪問者4-5人を連れて校内ツアー。私はイスラエル、エストニア、ブルガリアの人たちと一緒に回りました。生徒たちの説明はもちろんすべて英語。分散して配置されている小さな建物を順に見ていきました。
印象的だったのは生徒が学校の運営や経費についてよく知っていること。ランチを出してくれる食堂はない。生徒たちは、ランチを出すとお金がかかるので、私たちはランチを家からもってきて経費を抑え、予算は他に回すようにしていると説明してくれた。何かの理由で施設や設備を増やしたくても資金がない場合、親が協力して手作りのようにしてそれらを作っていく。図書館もないが、すぐそばの町の図書館が使えるし、生徒はみなタブレットをもっている。小さな学校だから、決して予算がふんだんにあるわけではない。日本の感覚からすると不十分だと問題になるだろう。しかし、ここでは施設設備を完璧にすることを優先するのではなく、不足しているものは別の形で補ってカバーすることで成り立たせようとしている。学校を作っていく過程に自分たちがあることをお互いに了解し合っているということが関係性がこの学校にはあるのだろう。
校長は図を示しながら、ここでは子どもたちに6つのライフスキルを獲得させるのだと語った。6つとは上から順にPersonal, Social, Society, Nature, Creativity, Subject Skillsであり、Subject Skillsは一番下にある。教科学習が適当でいいということではないだろう。ただ子どもを人間総体として見てその成長を図ろうと考えていることは分かる。
(写真:朝から走り回って遊ぶ子どもたち。校舎の1つ。集会の様子(ぼかしてます)。吊り橋で遊ぶ子どもたち。教室。)